
最近更新が滞ってしまい、申し訳ありません。日常生活が不安定な上に、夏バテの所為なのか、頭がロクに働かないし身体のダルさが半端ではありません(言い訳…
9月に入ることだし暑さも和らげばいいのですが。
・・・さて、今回はギタリストについて考えようかなーと思います。
古いネタになりますが2007年にローリングストーン誌が「史上最も、過小評価されているギタリスト25人」というのを発表していたのを御存知でしょうか?(http://doops.jp/2007/10/rollingstone25.html) 「史上最高のギタリスト」のランキングと対を成す、いわゆる裏ランキングです。このランキングを見ると、世間一般で言われるギタリスト像とはかけ離れた人物が名を連ねているところが特徴であることが分かります。
特筆するならば、8位のミック・テイラー(元The Rolling Stones)10位のジョニー・グリーンウッド(Radiohead)、15位のジョニー・マー(元The Smiths)、16位のジョン・フルシアンテ(Red Hot Chili Peppers)といった、華のあるメンバーの影で職人的な働きを見せる面々がランクインしています。ここからも、ランキングの性質が見え隠れしていますね。
テクニカルなギターソロをかまし、圧倒的存在感を示すギタリストは、誰の目から見ても素晴らしいですが、自分としては、華を捨てて影に隠れながら黙々と音を紡ぎ出すギタリストにこそ趣を感じるのです。それこそ前述した四人のギタリストなんて、まさにそれですね。
Radioheadに関して言えば、カリスマ性のあるトム・ヨークが目立つため、誰もが最初はトム・ヨークに目が釘付けになります。しかし、バンドに惹かれ始めた途端、横で前髪を垂らして奇怪な演奏を始めたり、機材をいじってるジョニーに目が行きがちであることに気が付くようになります。
私としてはこういった、バンドの中軸を担いながらも、日の当たりにくい作業をしているようなギタリストが好きなんです。俗に言う"縁の下の力持ち"。もちろん演奏の上手さや音の好みなどがそこには伴うと思いますが。
それを踏まえた上で好きなギタリストを挙げるならば、
・ジョニー・マー (元The Smith)
・ロビン・ガスリー (元Cocteau Twins)
・ニック・マッケイブ (元The Verve)
・ジェームス・イハ (元The Smashing Pumpkins)
・バーナード・バトラー (元Suede)
この人達のギターサウンドと佇まいはとても味があるし、渋みがあってて好きです。
残念なのは、五人ともバンド活動から離れてしまっていることです(笑)
ギタリストはあくまで伴奏者。テクニックをひけらかすのではなく、曲にふさわしいフレーズさえ弾けばよく、無駄な音は一音たりとも弾くべきではない・・・と言うジョニ・ーマーの信念に感化されたギタリストは数知れず。流麗なメロディラインを紡ぐように鳴らすジョニーの演奏はまさしく芸術の域。いろんなジャンルにも対応できるマルチなギタリストでもあります。
ロビン・ガスリーとバーナード・バトラーはプロデューサーとしても有名なため、いろんなアーティストの作品でそのギターサウンドを耳にすることが出来るはずです。ロビンついてはCocteau Twinsを聴けば一目瞭然ですが、最も美しい音色を出すギタリストではないでしょうか。天上にも昇るこの世界観は、彼なしではありえません。エリザベスフレイザーの声が苦手な人はロビンのソロ作品を聴いてみてください。
Suedeの1stと2ndでその音色を才能を知らしめたバーナード・バトラーですが、見事にブレッドの影に隠れていた名ギタリストです。辺りを桃色で覆うサイケなギターサウンドは、Suedeの毒々しさをこれでもかと言うほど全面に押し出していましたね。ランキング入りしていない彼こそ、ギタリストとしての過小評価が否めません。
ニック・マッケイブは、ライブを見ると分かりますが、アレほどの浮遊感漂うサイケな音を出していながら、顔色一つ変えずにムスっと演奏している様が圧巻。自由奔放にノイズを作り出しているライブ映像なんかを見てると、彼もまた、職人と呼ぶにふさわしいギタリストだと言えます。リチャードのようなヴォーカリストがいるために、そのカッコよさがとても栄えています。『Urban Hymns』で影を潜めていた特徴的なギターワークが『Forth』で戻ってきたのは本当に嬉しかった。ニックの魅力が炸裂しています。
ジェームス・イハについてですが、実はビリー・コーガンの方が「過小評価されているギタリスト」で22位にランクインしているんです。ビリーも確かに常々ギターテクの評価が高い人物ですが、ジェームス・イハのひねくれたギターの存在感と他のサウンドとの重なりこそ、バンドの根幹に関わる重要な部分でした。個人的にはバンドの色を決定づける音色を鳴らせるアーティストこそ良いギタリストだと思っていますから。ビリーのノイジーな演奏もたまらなく好きですけどね。
レスポールが言うには、ラジオで流れている自分のプレイを母親が聴いてそれが息子のだと分かるようになれば、ギタリストとしては一人前、なんだそうです。テクニック云々でそれを示してもいいですが、そのアーティストでしか有り得ないフレーズや音色を作れるギタリストが素晴らしいというのは言うまでもありません。今までは、ギタリスト個人に深い想い入れはありませんでしたが、こうして文章に起こしてみると、そうでもなかったことに気づきました。これからはギタリストのフレーズや音色をより深く聴くことができそうです。


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